金属加工や板金加工の中でも、特に「精密板金加工(精密板金)」と呼ばれる種類の板金加工があります。このページでは、精密板金加工の特徴やメリット、一般的な板金加工との違いなどを解説していますので、金属加工の比較検討に活用してください。

精密板金(精密板金加工)とは

精密板金(精密板金加工)とは、板金加工の中でも特に高度な職人の技術や手作業によって、一般的な板金加工では製造困難と思われる複雑な形状の製品や試作品を生み出す板金加工の1種です。精密板金加工で使われる金属板はおよそ0.1~3mmの厚さとなっており、素材にはステンレスや鉄、アルミニウム、銅など色々なものが挙げられます。

精密板金加工では職人が治具や汎用金型などを使いながら、手作業で加工していくことが特徴です。そのため最初に専用金型を製造する必要がなく、金型製造に必要なコストや時間を短縮できるといった強みがあります。

精密板金加工が求められる業界や分野は多岐にわたっており、自動車業界や電子機器・通信機器業界、半導体製造業界など幅広いニーズに合わせて加工を行える点は重要でしょう。

反面、経験を積んだ職人がいなければ品質を維持できないといった問題もあります。

精密板金加工のメリット・長所

精密板金加工の強みは、まず複雑な形状の製品や部品、試作品を実現できる点です。また金型を必要としないため、作業のイニシャルコストを削減することができます。

職人の経験や知識が十分にあれば、色々な業界や分野のニーズに応えられる上、必要な情報がそろっていればすぐに作業へ取りかかれるため、全体の工期を短縮することも可能です。

寸法精度が高いため、品質を追求しなければならない作業や工程で利用メリットを得られるといったこともポイントです。

その他、金型を作らないため試作を確認した上で再調整しやすいといったことも見逃せません。

精密板金加工のデメリット・短所

精密板金加工のデメリットは、まず職人の経験や作業レベルに仕上がりの品質や精度が左右されてしまう上、量産に適さないという点です。また、業界ごとに適切な知識がなければ、クライアントから求められるニーズに対応することができません。

使用する金属にも素材特性があり、同じ寸法の製品を作る場合でも素材ごとに適した作業を行わなければなりません。そのため、例えば「精密板金加工対応」と掲げていても、実際に自社で希望する製品を製造できるかは改めて確認が必要です。

精密板金加工の用途・製品例

精密板金加工が必要とされる業界や分野は多種多様です。例えば、事務用品などとして使われている鉄製やアルミ製のロッカーなどは、基本的に素材となる一枚の板を精密板金加工によって成形して製造しています。

その他にも医療機器ケースやパソコン部品、モーターブラケットや人工衛星配電用BOXなど、精密板金加工で生み出されている製品は色々とあります。職人の技術と作業環境さえ整っていれば、あらゆる分野でニーズにアプローチできることが魅力です。

板金加工のなかでの分類

金属板を切ったり曲げたりして形を作っていく板金加工は一般的な金属加工の種類ですが、さらに板金加工は以下の3つに大別されます。

自動車板金とは、文字通り自動車関連部品を製造したり、ボディの凹みなどを直したりする板金です。打ち出し板金や叩き板金とも呼ばれます。

工場板金は、パソコンのケースや家電の筐体など身近にある様々な製品を作り出す板金加工です。主として工場で作業されることから工場板金と呼ばれることがポイントです。

建築板金は金属板を曲げたり延ばしたりして、住宅の外装に使用する屋根や部品といった建築関連の製品を加工します。技術力だけでなく感性やデザインセンスといった美的感覚が求められることもあります。

なお、精密板金加工は基本的に工場などで職人が行うことから、主として工場板金に分類されることを覚えておきましょう。

精密板金と似ている「プレス加工」との違い

精密板金加工とプレス加工における最大の違いは、精密板金加工では専用金型を必要とせず、プレス加工では専用の金型を必要とするという点です。

プレス加工は、専用の金型に金属板を重ねて、プレスマシンなどで圧力をかけることで金属板を変形させて希望する形状へ加工します。そのためプレスマシンは効率的に製品を生み出すことができ、大量生産に適しています。反面、最初に金型を用意しなければならず、少量生産や試作ではコストが過多になることもあるでしょう。

プレス加工とは?
板金加工との違いについて
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通常の板金加工と精密板金加工の違い

使用する材料の違い

一般的な板金加工では、鉄やステンレスといった金属板が材料として使われることが多いといえます。それに対して精密板金加工では、鉄やステンレスはもちろん、銅やアルミニウム、真鍮など様々な素材を使って製品を作っていくことが違いです。

また、板金加工と精密板金加工では加工可能な金属板の厚みにも違いがあります。

板金加工で用いられる金属板の厚みはおよそ1~10mmという、比較的厚めの素材が多くなっています。しかし職人の手作業で進められる精密板金加工では、0.1~3mm程度の薄い金属板を使って作業することが基本です。職人の熟練度や仕上がりの形状、サイズなどによっては、厚さ0.1mm以下の金属を使った精密板金加工もあり得るでしょう。

精密板金加工の内容は加工業者によっても差があるため、対応可能な範囲を最初に確認してください。

求められる精度の違い

プレス加工など一般的な板金加工では、比較的シンプルな形状の製品が目的となっており、サイズにもよるものの寸法公差は±0.5〜2.0㎜といった程度が基本です。

しかし精密板金加工では微少なサイズの製品や、気密性に優れた正確な形状の製品を作ることもあり、求められる精度の条件も一層に厳しくなります。

曲げ加工で±0.2㎜以下、抜き加工で±0.05㎜以下など実際の条件に応じた技術力が必要です。

ただし寸法公差や精度については、担当する職人の技術や使用する金属の特性などによっても難易度が異なるため、依頼前に加工会社の能力や実績をしっかりチェックします。

かかるコストの違い

工場板金でもプレス加工のような板金加工の場合、まず図面にもとづいた金型を製造してから加工工程や量産体制へと進みます。そのため、どうしてもイニシャルコストとして金型製作の費用を無視することができません。また、もしも製造した金型やそれによって製作した製品に問題があった場合、改めて金型を再製作しなければならず、さらにコストが高まってしまいます。

一方、精密板金加工では金型を使用しない、または使用しても汎用金型でカバーできるため、イニシャルコストを削減可能です。

大量生産によってコストを分散させられる場合はプレス加工、少量生産でコストを抑えたい場合は精密板金加工といった具合に考えると良いでしょう。

精密板金加工の流れ

1.工程設計

まずは工程を設計していきます。これは図面の仕様に合った製品を製造するために欠かせない工程であり、加工に用いる汎用金型を選定する・曲げ加工や抜き加工の順番や回数などを工夫することで、効率的に製造が行えるように考えなければなりません。またバリ処理や塗装、溶接が必要かどうかなども考えながら工程設計を行います。

加工方法を適切に設計することで、確かな品質を製造できるだけでなく、加工のリードタイムにも影響を与えるでしょう。より効率的な工程を設計できれば、必要以上のコスト負担を避けることにもつながります。

2.図面展開

図面には完成の状態で寸法・仕様が記載されています。そのため図面を展開し、曲げ加工を行う前の状態に展開しなければなりません。曲げの部分はアールを考慮しながら展開する必要があり、精密板金なら加工の途中で形が変形しないように高い強度を確保する、平面性を確保するなどの目的で最終的には必要のない曲げを付けることも。その場合には事前に板の面積を広く取っておく必要があるでしょう。

3.抜き加工

抜き加工とは展開図通りの形状になるよう、金属の板を切断していく加工法です。タレットパンチプレスやレーザー加工機などを用いるケースが多いでしょう。

4.前加工・バリ取り・タップ加工など

抜き加工が終われば、エッジの部分にトゲのような突起が残ることもあります。このトゲのことをバリと呼び、バリによって製品に傷をつける、ケガをする要因になるため丁寧にバリ取りを行う工程が必要になることも。

またタップ穴の加工やバーリング加工など成形加工を行うケースも多いでしょう。

5.曲げ加工

金属の板を機械で固定し、変形させながら曲げていく加工のことです。一般的にはプレスブレーキという機器を用いて加工を行います。直角・鋭角・鈍角だけでなく、アールを大きく付けた曲げや折り返すヘミング曲げなどにも対応可能です。そのため製品の状況にあわせて、適切な曲げ加工を行っていきます。

6.溶接加工

部品と部品を繋ぎ合わせる加工のことを溶接加工と呼びます。基本的には金属同士を溶接するケースが多く、アーク溶接・レーザー溶接などを用いるケースが多いでしょう。

7.仕上げ加工・表面処理

溶接によって凸凹した表面を平らにするために、なめらかに削っていく作業を仕上げ加工と呼びます。また表面性を良くする、色を付けるためにメッキ・塗装をする作業も、この工程で行われます。この段階で、ほぼ製品の部品は出来上がっていると言えるでしょう。

8.組立・検査

製品によっては加工だけで済むケースもありますが、ネジなどを用いて組み立てて背完成する製品もあります。そのため指定されたトルクでしっかりと締め付けし、部品を丁寧に組み立てて製品として完成です。

そのあとで完成した製品・部品の寸法が適切か、表面や外観の仕様が適切かどうかの最終検査を行います。これは出荷前の最終的な検査ですが、製品によっては工程の途中段階でも検査が行われるケースも多いでしょう。最終検査を通過した製品は梱包し、顧客へと納品するという流れです。

精密板金加工のまとめ

精密板金加工は、事前に製作した金型を使ってプレス加工などを行う板金加工に対して、職人が汎用金型や治具を使った手作業で製作や試作を行う金属加工です。

精密板金加工は比較的薄い金属板を使って、寸法公差の少ない高精度な製品や試作品を製作する目的で利用されます。大量生産には不向きですが、金型コストといったイニシャルコストを抑えられるため、信頼できる技術者や実績を持つ加工業者であればコストパフォーマンスの向上に役立ちます。

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