高エネルギービーム溶接(電子ビーム溶接)とは

融接はアーク溶接とビーム溶接、ガス溶接に分類されており、高エネルギービーム溶接(電子ビーム溶接)はビーム溶接のひとつです。電子ビームの運動エネルギーを利用して材料を加熱します。

高エネルギービーム溶接(電子ビーム溶接)の特徴は、少ない熱量で深い溶け込みの溶接ができる、溶接ひずみが少ない、融点の高い金属も簡単に溶接ができることです。

高エネルギービーム溶接(電子ビーム溶接)の仕組み

高エネルギービーム溶接(電子ビーム溶接)は電子を衝突させて溶解させる加工法です。電子に電圧をかけて高速に加速した電子を対象物に衝突させると、その運動エネルギーが熱エネルギーに変換します。対象物が加熱され溶解するという仕組みです。

高エネルギービーム溶接(電子ビーム溶接)の種類

高エネルギービーム溶接(電子ビーム溶接)は加速電圧(高電圧型・低電圧型)や加工室の圧力(高真空型・低真空型)、電子銃の取り付け位置(電子銃固定型・電子銃移動型)によって分けられています。

加工室の圧力(高真空型・低真空型)の排気装置は以下で構成されています。

高真空型の排気装置

低真空型の排気装置

※参考元:https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure/welding/electron-beam/type.jsp

高エネルギービーム溶接(電子ビーム溶接)のメリット

レーザー溶接よりも損失が少ない

気体分子との衝突によるエネルギーの損失を防止することができるため、レーザー溶接よりもビームエネルギーの損失が少ないと言われています。

幅が狭くレーザー溶接やプラズマ溶接よりも深い溶接が可能であり、高融点材料や活性金属、熱伝導率の高い材料にも適しています。

溶接対象物の酸化、窒化を抑制

真空中の加工により、溶接対象物の溶接部の酸化と窒化を抑えた溶接ができるため、酸化や窒化に弱いチタンも溶接もできるのがメリットです。

外部から溶接部分に与える熱量の範囲が狭いため熱によるゆがみも少なく、異種金属同士の溶接にも対応できます。

高エネルギービーム溶接(電子ビーム溶接)のデメリット

磁性材料は溶接できない

磁性のある材料は電子ビームが曲がるため溶接ができません。磁性のある材料は磁力を取り除く必要がありますが、状況によっては取り除いても加工できない場合があります。

真空引きと大気中にガスを吐き出すには時間がかかるため、量産ラインで使用した場合生産性が悪化するでしょう。

製品サイズに制限がある

真空状態で加工するので、真空室の大きさによって製品サイズに制限があります。

主な用途は、銅+ステンレス、鉄+ステンレスなどの異種金属材料や航空、宇宙部品、真空チャンバー、圧力タンクなどの大型構造物品、水冷板(バッキングプレート)などの冷却部品などです。

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