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ハンマーで叩きながら曲面へと成形する「打ち出し板金」。このページでは打ち出し板金の仕組みやメリット、道具などを紹介しています。
打ち出し板金は「叩き出し」とも呼ばれており、厚さ6ミリほどの薄い板をハンマーなどで叩きながら伸ばしていき、三次元の曲面を作り出す板金加工の技術のひとつです。ハンマーで叩く金属加工と言えば、熱を加えて熱くした金属を成形していく技術をイメージするかもしれませんが、この方法は「火造り」と呼ばれる技法となり、打ち出し板金とは全く違った方法になります。
打ち出し板金は数千年前から続く技術と言われており、金属製マスク・軍の甲冑などで用いられたこともある技法です。
打ち出し板金はハンマーなどの工具で叩きながら成型していく技法になりますが、その曲面が描かれる原理に関してはハッキリ結論が出ていません。
上記の工程が何度も繰り返されることで、なめらかな曲線が形成されていくという見方が一般的なようです。ただ実際の現場で、職人の体が覚えていくといった感覚的経験の技術と言えるでしょう。
曲面を作り出す方法と言えば、プレス加工が一般的でしょう。プレス加工は機械で作業が行えますが、打ち出し板金は機械による作業ではなく、すべて手作業で行われる加工のため高い技術力が求められる技法となります。
打ち出し加工のメリットは金型が必要なく、金型を製作するための時間やコストが一切かからないという点です。たとえばプレス加工であれば金型は必要となってくるため、少量生産の場合だと余計な費用がかかってしまうでしょう。しかし打ち出し加工なら急な発注でも職人さえいれば、すぐに対応することが可能です。また試作品などの段階時に様々なサイズ・形状に細かく対応できるという点もメリットと言えるでしょう。打ち出し板金であれば微調整もしやすく求める製品へとスグに作り直すことができます。
一般的に必要な材料は上記の3つです。金属の板を鉄床に置き、金属の板の裏側にあて板を片手で押さえ、もう片方の手でハンドハンマーを叩きながら加工を行っていきます。
もし最初の段階で大まかに曲げておくなら、成型加工機を用いることもあるでしょう。成型加工機とは上下にハンマーが叩く機器で、技術者の手作業による成形作業負担を軽減することができます。大まかな曲げ・細長い部品を成形する際などに用いられることが多いようです。
ハンドハンマーと言っても、どのような形状にするのか、作業の工程などによって5種類ほどを使い分けています。粗出しハンマー・ならしハンマー・ピックハンマー・木製ハンマー・ゴムハンマーなどがあり、大きさや素材、重要などが全く違うハンマーです。非常にシンプルな構造の工具ですが、職人の経験と技術によって繊細な加工を実現できるのでしょう。
上記のような材料が打ち出し加工に最適と言われています。たとえば新幹線の先頭構体は軽量化が図られているためアルミ製がほとんどで、車両部品も軽量・加工性の高さからアルミニウムやアルミニウム合金が用いられているケースがほとんどでしょう。
数センチの小さな部品から、十数メートルにも及ぶ製品まで多種多様な製品で打ち出し板金技術は活用されています。たとえば鉄道車両部品の分野において、新幹線・在来特急電車・モノレール・路面電車などで用いられており、試作車や実験車両などにも使われているのです。さらに運転室の窓枠、計器盤の本体・カバーなど、あらゆるところに打ち出し板金の技術が使われているでしょう。
ほかにも建築物や甲冑、美術品なども打ち出し板金技術が採用されています。
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